フェニックスの短飛行:投資仲裁における誠実・権利濫用・適法性についての一考察
pages 183 - 207
ABSTRACT:
本稿の出発点として、一般的で相互に関連し合う適法性・権利濫用・誠実の原則について検討する。これらの原則は、投資紛争解決国際センター(ICSID)の判例法全体を通して、過去数年の間に繰り返しみられた。本稿では、これらの原則の概念と適用についての分析を行う。これらの原則は、主に国際公法を通じて投資保護の領域に入ってきており、そのようなものとして国際公序の一部を形成している。この論文では、誠実原則は国際公法に由来するため、誠実原則の基礎となる概念について詳しく検討する。主に、これらの原則が適用されたICSID の判例法に注目し、チェコ初のICSID判例となったフェニックス訴訟に特に注目する。この訴訟の開始時に、ICSIDの下での裁判管轄権の概念の範囲に関する議論が始められた。この法廷の判決において問題視されている側面について議論し、類似の性質をもつ今後の紛争に対する解決策を提案する。