ロシア裁判所の実務における公序
pages 101 - 115
ABSTRACT:

公序の例外は、外国法の適用を制限する最も複雑な国際私法制度のひとつである。ロシアの法律は「公序」の定義を行っていないため、この用語の明確かつ正確な定義を呈示することは困難である。そこで筆者は、公序の例外の適用について、外国で下された仲裁判断の執行と関係しているロシア裁判所の実務内容について分析を行う。筆者は、判例分析に基づいて、ロシア法における基本原則、ロシアの法秩序の基盤となsる一般的に認められた倫理原則、 一般的に認められた国際法の諸原則および規範等は、公序という用語の下で理解されているとして結論づけている。公序の概念はロシア連邦法の本質とはそもそも合致せず、ロシア連邦における公序は、ロシア国家の社会的秩序の基盤と同義であることも明らかにされる。したがって、公序の概念は、外国法の適用によって、ロシア法的な意味での正義の下では受け入れがたい結果がもたらされるような、例外的なケースに限って用いられる。

keywords

about the authors

法学博士。モスクワ国立法律アカデミー主任講師。専門は国際私法、国際投資法、国際投資仲裁。

E-mail: vozgik@mail.mipt.ru