国際法およびEU法における公序と公共の利益
pages 117 - 147
ABSTRACT:

民法では、公序原則が法的・社会的秩序の柱を成すとされている一方で、この用語のコモンロー的な理解に基づく、長期的で一貫した公序を形成することは、明らかにより広い立法上のカテゴリーに入る。その意味で、公共の利益と公序は、カテゴリーとしては、民法制度における問題というよりももっとお互いに密接な関係にある。とは言っても、この二つは別個のカテゴリーである。しかしながら、公共の利益に訴え、公共の利益と公序を一つにすることによって(用語の不正確な定義によることが多い)、強力な議論を展開しようとする傾向が驚くほど強まっている。なぜなら、それが公序防衛の拡大と、公序に関する申し立ての増加につながるからで、国際社会の利益とは調和しないからである。公共の利益は、意味の不明確な法律用語ではない。特定の法的規則(法律、基準)に照らしてのみ定義可能な抽象的な用語である。その主体とは、定義は漠然としているが本質的には特定可能な集団を形成する人であり、通常、(絶対的)強行規範(国際私法では、慣習的に、すべてに優先する強行規範として知られるものの性質をもつ)において示されている。公序の負の作用とは対照的に、強行規範はポジティブな規範として作用する。しかしこれは、公共の利益に対する懸念が公序とみなされ、適切な法的手段によって保護されるほどに広がっていると考えられるという例外的な場合に限られる。公序は、(絶対的)優先的強行規範とは対照的に、 公共の利益とその主体を特定することは求めていない。

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about the authors

法学博士(Dr.iur)および名誉教授(Dr. h.c.)。チェコ・プラハ市認可弁護士としてプラハで開業(米国ニュージャージー支部)、ビェロフラーヴェク法律事務所シニアパートナー。オストラヴァ大学経済学部法律学科教授、マサリク大学法学部ヨーロッパ法学科客員教授(チェコ共和国ブルノ市)。国際商業会議所(ICC)仲裁委員会チェコ国内委員会委員長。プラハ、ウィーン、キエフなどで仲裁人を務める。スイス仲裁人協会(ASA)、ドイツ仲裁人協会(DIS)、オーストリア仲裁人協会会員。世界法曹協会(WJA)初代副会長(米国ワシントンDC)。