フェニックスの短飛行:投資仲裁における誠実・権利濫用・適法性についての一考察
pages 183 - 207
ABSTRACT:

本稿の出発点として、一般的で相互に関連し合う適法性・権利濫用・誠実の原則について検討する。これらの原則は、投資紛争解決国際センター(ICSID)の判例法全体を通して、過去数年の間に繰り返しみられた。本稿では、これらの原則の概念と適用についての分析を行う。これらの原則は、主に国際公法を通じて投資保護の領域に入ってきており、そのようなものとして国際公序の一部を形成している。この論文では、誠実原則は国際公法に由来するため、誠実原則の基礎となる概念について詳しく検討する。主に、これらの原則が適用されたICSID の判例法に注目し、チェコ初のICSID判例となったフェニックス訴訟に特に注目する。この訴訟の開始時に、ICSIDの下での裁判管轄権の概念の範囲に関する議論が始められた。この法廷の判決において問題視されている側面について議論し、類似の性質をもつ今後の紛争に対する解決策を提案する。

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about the authors

法務博士(JUDr.)。1982年生まれ。チェコ・プラハ市のビェロフラーヴェク法律事務所で司法修習生として勤務する傍ら、プラハ・カレル大学法学部で国際法の博士号取得を目指す。2006年エラスムス大学(ロッテルダム)法学部の交換留学プログラム修了、2007年マサリク大学(ブルノ市)法学部卒業、2010年プラハ・カレル大学で法務博士号(JUDr.)取得。専門は仲裁および国際公法で、特に投資仲裁に関心がある。